日本の政治は常に注目を浴びていますが、特に今、岸田文雄首相の動向に多くの関心が寄せられています。彼は知性派であり、政治家としてのキャリアも長く、期待が高まる一方で、様々な批判や懸念も浮上しています。
このコンテンツでは、岸田首相の成功への道を探る中で、支持率低下とは対照的に株価が上昇する背景に迫り、彼のリーダーシップの可能性を探ります。
3ヶ月連続20%台
岸田政権ピンチ!?低迷する内閣支持率
自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受け、岸田内閣そして自民党の支持率が低迷しており、各社が実施している世論調査では、内閣支持率は3か月連続で2割台、自民党が政権復帰した2012年12月以降、最低水準となりました。
その要因は、政権内部の派閥抗争や人事問題、政治決定の透明性や公正性への疑念、各政策の実現性や具体性に対する疑問や不安、政府の危機管理能力やリスクコミュニケーションの不足など、国民が抱く政治への不信感が、このような数字に表れていると考えられます。
数千?数百?そもそも、内閣支持率ってどう出してるの?
世論調査とは個人を対象として行われる大規模な意識調査のことを指し、通常は世論調査機関が行います。主要な調査機関には、NHK、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞などがあり、これらの調査は毎月定期的に実施され、電話やインターネットを通じて一定数のサンプルを対象に行われます。
本来は全国民を対象に全数調査を行うべきではありますが、それには多くの手間や費用が必要となるため、一部の人だけを選んで調べる標本調査が主流となります。
標本調査では、参加者に対して政府や内閣に対する評価や信頼度などを尋ね、その結果から内閣支持率が算出されます。結果は報道機関や調査機関のウェブサイトなどで公表され、メディアで広く報道されます。
世論調査を行う際には、使用するサンプルに関するきちんとした定義があります。一般的に、調査対象となるサンプルは、日本国内に住む成人市民であることが求められます。また、年齢、性別、地域、世帯構成など、人口統計学的な要素を考慮して数百〜数千のサンプルが選ばれます。これにより、全国的な代表性を持つサンプルが得られるように努められます。さらに、一定期間に複数の調査を行うことで、偏りが最小限に抑えられるように努められます。調査機関はこれらの定義に基づいてサンプルを選定し、調査を実施します。
ところで、内閣支持率の世論調査の結果を精査する第三者機関は存在する?
あります!
- 日本選挙管理委員会(JEC): 日本選挙管理委員会は、選挙や世論調査などに関する公正な情報を提供するための機関です。世論調査の結果に関する情報提供や精査の役割があります。
- マスコミ各社の審査委員会: マスメディア各社は、自社が行った世論調査の結果を自社の審査委員会や独立した第三者機関によって精査することがあります。これにより、調査の信頼性や公平性が確保されます。
- 独立系調査会社: 日本国内には独立系の調査会社が存在し、これらの会社が世論調査の結果を独自の方法で精査しています。これらの会社は一般に信頼性が高く、世論の動向を正確に把握するのに役立ちます。
これらの第三者機関や組織が、内閣支持率の世論調査結果を精査し、その信頼性や公平性を確認する役割を果たしているそうです。
しかし、その頻度が世論調査の度に実施されているわけではないとしたら・・・?
私たちは何の数字を見て判断しているのでしょう。
意外と知られていない、開成高校出身の初の総理大臣!
首相は開成高校出身であり、この学校から日本の総理大臣が出たのは彼が初めてです。
開成高校は日本で最も歴史があり、最も難関とされる高校の一つであり、優れた才能を育てることで知られています。
小学校の1〜3年生まではニューヨークに在住し、現地の公立小学校に通学していた帰国子女でもあり、東京大学を目指して受験に三回失敗するなどの悔しい思いも経験しています。後に自身は「私は決して線の細いエリートではありません」と述べています。
結局東大は諦め、早稲田大学法学部に入学。
大学卒業後は、エリート中のエリートしか入行できないと言われていた日本長期信用銀行(現在は新生銀行)に就職し、5年間のサラリーマン時代を経て、31歳で現在の妻・裕子夫人と見合い結婚しました。クールなイメージで知られ、冷静沈着なリーダーシップを発揮する一方、子どもの頃からスポーツが好きで、中学時代は軟式テニス部、高校時代は硬式野球部に所属し部活動に励んでいました。
36歳で初当選!衆議院議員、岸田文雄の誕生
1993年の衆議院議員選挙に初出馬・初当選を果たした岸田首相は、着実にキャリアを重ねていきます。
政府
- 建設政務次官(小渕第2次改造内閣・第1次森内閣)
- 文部科学副大臣(第1次小泉内閣)
- 衆議院厚生労働委員長
- 内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、規制改革、国民生活、科学技術政策)(第1次安倍改造内閣・福田康夫内閣)
- 消費者行政推進担当大臣(福田康夫内閣)
- 宇宙開発担当大臣(福田康夫内閣)
- 外務大臣(第二次安倍内閣、第二次安倍改造内閣、第三次安倍内閣、第二次安倍改造内閣、 第三次安倍第二次改造内閣)
- 第100代内閣総理大臣
- 防衛大臣(兼務)
- 第101代内閣総理大臣
自由民主党
- 青年局長
- 広島県支部連合会会長
- 商工部会長
- 経理局長
- 消費者問題調査会長・道路調査会副会長兼事務局長
- 団体総局長
- 広島県支部連合会会長
- 国会対策委員長
- 宏池会会長
- 政務調査会長
- 総裁
など様々な要職を歴任してきました。
ちなみに、初当選した1993年の衆議院議員選挙には安倍晋三氏も初当選しており、ふたりは同期です。
4万円台突破!!史上最高の株価
岸田首相の任期中である2024年2月22日、日経平均株価がこれまでの最高値だった1989年12月29日の記録を34年2ヶ月ぶりに更新しました。これは、国内外の投資家が日本経済に対してポジティブな見方をしていることの証とも言えます。さらに同年3月4日、日経平均株価は4万円台をつけ「アベノミクス」で注目された安倍晋三元首相の第2次政権時代の上げ幅も視野に入っています。
ただし、株価は多くの要因に左右されるため、これを岸田首相の手腕のみに帰することはできませんが、経済政策が一定の信頼を得ている指標と言えるでしょう。
78カ国231回
外交政策「インド太平洋戦略」「アジア太平洋地域脱炭素化」
岸田首相は2021年の政権発足以降積極的な外交を展開しており、その数78カ国・地域、延べ231回にわたって首脳と会談してきました。
特にインド太平洋戦略の推進に力を入れており、2022年5月23日東京で開かれた岸田首相とバイデン大統領の日米首脳会談において、安倍前首相が力を注いできた「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、日米が国際社会を主導すること、それにより日本とASEAN諸国、インド、オーストラリア、アメリカ合衆国、欧州、カナダなどの同志国が緊密に連携し関係強化することが図られています。また、アジア太平洋地域脱炭素化へ向け、2023年11月17日にアメリカ・サンフランシスコで開催されたAPECの首脳会議では、岸田首相自らが提唱する、アジア地域の国々が気候変動や地球温暖化への対策として協力し、温室効果ガスの排出をゼロにすることを目指す「アジア・ゼロエミッション共同体」の首脳会議を開催し、アジア太平洋地域の脱炭素化に向けて取り組みを進める考えを示しています。
COVID-19対策
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して、安倍、菅、岸田の3政権が対策に取り組んできましたが、岸田政権においてはワクチン接種の加速や経済支援策など、国民の健康と経済の双方を守るための対策を進めました。これらの対策は、パンデミックの影響を最小限に抑えることに一定の成功を収めると同時に、2023年5月8日に新型コロナを5類感染症に移行し、ポストコロナへの一歩となりました。
4つのビジョン
岸田内閣が掲げる未来像
経済政策「新しい資本主義」
- 構造的賃上げの実現、分厚い中間層の形成
- 国内投資の活性化
- デジタル社会への移行
こども・子育て制作
- 子育ての経済的支援
- 全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充
- 共働き・共育ての推進
- 安定財源の確保と予算倍増
外交・安全保障
- 法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序
- 我が国の平和と安定を守り抜く
- 地球規模の課題に向き合い、人類に貢献し、国際社会を主導する
国民生活の安全・安心
- 防災・減災、国土強靱化の推進
- 自然災害からの復旧・復興の加速
- 安全・安心な暮らしの確保
2週間に1度
散髪がリラックスの場所
岸田首相は常に髪を整え、髭を清潔に剃り、スーツやシャツ、ネクタイのディンプルに至るまで、身だしなみに非常に気を遣っていることで知られています。東京・鍛冶町の理容室に2週間に1度通うという習慣は、前任の安倍、菅両首相の月1回のペースのほぼ2倍に相当し、彼の外見への細心の注意を物語っていると同時に、公の場に立つリーダーとしての姿勢を象徴していると言えます。「人は見かけで判断すべからず」とはよく聞きますが、もし写真右のような見かけの首相だったら、所信表明の言葉が頭に入ってくるでしょうか?
彼は「信頼と共感の政治」を掲げ、メディアを通じて国民に語りかける機会を意識しています。この姿勢は、「岸田意見ボックス」の開設や、YouTubeを使ったライブ回答の実施にも表れており、特にインタビューや記者団とのやりとりの頻度が、前任者たちを上回るほど積極的です。岸田首相のこのような取り組みは、彼の身だしなみが整っていることに相まって、より親しみやすく、信頼されるリーダーのイメージを国民に与えているのです。
2人の比較
安倍氏と岸田氏
安倍晋三
- 経済政策:アベノミクス「3本の矢」、安倍・菅政権期の「改憲型新自由主義」
- 性格:主義主張が明確(自分の知識や発想をそのまま自分の言葉で表現してぶつけるタイプ)で国民からの好き嫌いが分かれやすい
- 方針:何をするかを掲げてから一挙に進める
- 保守層の親分的存在:派閥の人たちの押さえになっている
岸田文雄
- 経済政策:新しい資本主義
- 性格:主義主張を明確に打ち出さないため、国民の反応の分断が緩く穏やか
- 方針:掲げてから様子を見ながら慎重に進めていく
- 保守層からの勢いを抑えられない
安倍政権 | 岸田政権 | |
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政権の特徴 | 「アベノミクス」や外交・安全保障政策の強化が特徴でした。また、長期政権を築き、リーダーシップを発揮しました。 | 「岸田新時代」と称し、政治改革やデジタル社会の構築、地方創生などが重視されています。リーダーシップの強化が求められています。 |
政策に対する実行の方法 | 政策の実行力が高く、経済政策や外交政策を断行しましたが、一方で政策の柔軟性に欠ける面もありました。 | 政策の具体化と実行に向けた努力が求められており、国内外でのリーダーシップを発揮することが重要です。 |
内閣支持率 | 長期政権を築き、一定期間は高い支持率を維持しましたが、後半には支持率の低下も見られました。 | 発足直後は一定の支持を集めましたが、その後は低迷が続いています。支持率の回復が課題とされています。 |
各首相の性格 | 強いリーダーシップと決断力を持ち、国際社会でも注目される存在でしたが、時に強引な面もありました。 | 知性と冷静沈着な性格が特徴で、デジタル社会の構築や政治改革に取り組む意欲が強調されています。 |
3206日連続在任日数を誇る安倍・菅政権からのバトンタッチ
国民は、安倍・菅政権による「改憲型新自由主義」に嫌気がさしていたため「脱新自由主義」の「新しい資本主義」を看板に掲げた岸田政権でしたが、2021年10月の発足から2年を越え、外的・内的様々な要因により、方向性にも変化があらわれています。
岸田政権以降の外的・内的要因の一例
- ロシアのウクライナ侵攻
- 米中対立のエスカレート
- 安倍銃撃事件と国葬
- 改憲三派(自公維)による衆参両院議席の3分の2以上の確保(大阪を拠点にした「維新」は、安倍・菅政権と同様の「改憲型新自由主義」に属する一派)
これらを含めた様々な要因により「新しい資本主義」=「脱新自由主義」のイメージを払拭・消去する方向に舵を切り始めている岸田政権。
それまでの成長第一主義を見直し、「成長と分配の好循環」を主張していましたが、「成長優先、第一主義」「分配戦略による人への投資こそが成長戦略でもある」との見方に切り替えられ、安倍政治を継投する構えも見え始めています。
700人超の頂点に立つ総理大臣
政治の世界は企業と同じ!?
岸田首相の通算在任日数は、自民党総裁の任期満了となる24年9月まで続ければ戦後の首相として8位、再選して27年9月までの3年間の任期を終えると、小泉氏を抜いて4位となります。
衆・参両議員合わせて700人超を束ねる国会。
様々なルールや複雑な手続きがある点は一般企業でも言えることですが、最大の相違点としては、国家や国民の未来を左右する重大な決定が待ち受けているという点。成果追求は当然であり、さらに社会全体の利益や価値観を考慮する必要があります。
戦後、日本の首相のうち半数超が2年未満で退陣しており、短期間でのリーダー交代は日本の外交や内政の弱さにつながってきたとの指摘があります。連続在任日数が2822日を記録し、「米中から必要とされる日本のイメージを世界に与えた」と評された安倍政権の俯瞰外交でさえ、東南アジア新興国各国との関係強化は課題として残されたままでした。
23年は日本が主要7カ国(G7)の議長国を務め、岸田首相はそれに先駆け首脳会議(広島サミット)を前に22年5月や23年1月にG7の参加国、韓国やオーストラリアなど同志国、東南アジア諸国連合(ASEAN)やインドのほか中東や東アフリカなどインド太平洋地域の重要な国を回り、国際社会で発言力を増す新興国との関係構築に努めています。
岸田政権の支持率を回復させるには?
これまで多くの要職を歴任し、頭脳明晰な岸田首相の経験と知識を持っても低空飛行を続ける国民からの支持。まずは、有権者の声に耳を傾け、国民の関心事や課題に対して具体的に進展・改革を実行に移す。失われた信頼を取り戻すべく、政府の意思決定プロセスや方針の透明性・公正性を高め、国民に対してきちんと説明責任を果たしていくべきではないでしょうか。
一方で、彼の任期中に株価が過去最高額に達したことは、彼の経済政策への取り組みが評価された証でもあります。身だしなみだけでなく彼の姿勢や風貌は国内外における日本の指導者としてのイメージ、そして日本の将来への希望を高めるものとなっています。
そのイメージやリーダーシップを発揮して国際社会や地域社会との連携を深め、国民の安全と安心を確保して行くこと、それらの成果や取り組みを国民に広くアピールし、より理解を深めるためのコミュニケーションを強化することで、もっと国民の関心が高まり、岸田政権として何を成し遂げてきたかという評価がますます聞かれるようになるのではないでしょうか。