前編「LGBTQ+」世界と日本の差はなに?活動内容からわかる違いを解説!

教育
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前編「LGBTQ+」世界と日本の差はなに?活動内容からわかる違いを解説!

LGBTQ+ってなに?日本でも活動しているの?世界の活動状況をもっと知りたい!
LGBTQ+について前提知識がない方に対して、概要から歴史的背景など分かりやすく解説しています。

この記事を読むことで、LGBTQ+の方に少しでも寄り添えるようになるでしょう。
※「性」に関する様々な価値観を紹介しますので、少し刺激的な表現があります。あらかじめご了承ください。

LGBTQ+ の概要

出典:東京レインボープライド|LGBTQとは?

LGBTQ+は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア/クエスチョニングを指す用語で、性的指向や性同一性の多様性を全て含みます。

プラス記号(+)は、これらのカテゴリに含まれないその他の性的少数者を表すために使われます。これには、インターセックス(生物学的性別の特徴が男性と女性の典型的な定義に合わない人々)、アセクシュアル(性的魅力をほとんどまたは全く感じない人々)、パンセクシュアル(性別にとらわれずに性的魅力を感じる人々)、ノンバイナリー(男性でも女性でもない性同一性を持つ人々)、などが含まれます。

これらの人々は歴史的に差別や不平等に直面してきましたが、現代では多くの社会や文化で受け入れられつつあります。
同性愛の非犯罪化、同性婚の合法化、差別の禁止など、権利向上のための法的進展が見られます。

しかし、全世界でLGBTQ+の人々が完全に平等な権利を享受しているわけではありません。
今なお法的、社会的な課題が残っています。

歴史的背景

出典:東京レインボープライド|プライドパレードを知る

LGBTQ+の歴史的背景を分かりやすく解説するために、「過去」「現在」「未来」で解説します。
過去の部分ではLGBTQ+の始まり、現在の解説では、法的進展と社会的変化、未来の部分では現代の課題と展望について解説していきます。

過去:LGBTQ+運動の始まり

出典:映画.com|ストーンウォール

ストーンウォールの反乱は1969年にニューヨークで起こりました。
ゲイの人たちが集まるバー「ストーンウォール・イン」が警察に突然襲撃されたことが発端です。

バーの利用者や周囲の人々が警察に対抗し、この事件が「LGBTQの権利を求める」運動を世界中で強化するきっかけとなりました。
多くのLGBTQ+の人々がこの時に初めて公に権利を主張し始めたのです。
それまで多くが沈黙を保っていた中で「もう隠れることはない」と声を大にして訴えました。

この反乱が、その後の多くの団体の設立やパレードの開催へとつながり、世界中でLGBTQ+に対する理解が少しずつ広がるきっかけとなりました。
完全に理解されているわけではありませんが、ストーンウォールの反乱がなかったら、今日の進展はもっと遅れていたかもしれません。

この反乱を物語にした映画「ストーンウォール」は現在、レンタル・配信などで見ることができます。

現在:法的進展と社会的変化

1970年代から1990年代にかけて、世界中でLGBTQ+の権利が広がり始めました。
特にアメリカやヨーロッパでは、同性愛を犯罪としない動きが進み、職場や学校での差別を禁止する法律が設けられるようになります。
公務員として働くLGBTQ+の人々に対しても、平等な扱いが保証されました。

2000年以降、さらに進展があり、いくつかの国で同性婚が合法化されると、同性のカップルも法的に認められた家族を築くことができるようになります。
この時期には、メディアにおけるLGBTQ+の人々の表現も増え、社会全体の理解が深まりました。

しかし、日本ではまだ同性婚は合法化されておらず課題が残っている現状です。
世界の多くの地域でLGBTQ+の人々が直面する困難は依然として残っており、これからも、より良い社会を目指して、さまざまな支援や理解を深める努力が必要です。

未来:現代の課題と展望

現代では、LGBTQ+の人たちの権利が認められつつありますが、まだ解決すべき課題がたくさんあります。
たとえば、多くの国でトランスジェンダーの人たちが法的に性別を変更するためには、手術を受けることが義務付けられていました。

しかし、最近ではそのような要求が人権侵害であるとして撤廃される動きがあります。
日本でも2023年に最高裁が、性別変更のための不妊手術を義務付ける法律は憲法違反であると判断しました。
教育の分野でも、性的少数者に対する理解を深めるプログラムが増え、特に若者の間で性的少数者への支持が広がっています。

このような教育の取り組みが、将来的にはより開かれた社会を形成する助けとなるでしょう。
今後もLGBTQ+の人々が安全に暮らせるよう、国際社会での支援と法的な改革が必要です。
性的少数者が直面する課題を解決し、彼らが全ての分野で平等に扱われる社会を目指すべきです。

参考:裁判所|令和5年10月25日 大法廷決定

性的指向の違い

性的指向は、人が恋愛的または性的に引かれる対象を示します。
ここでは、いくつかの一般的な性的指向について説明します。

ヘテロセクシュアル(異性愛)ヘテロセクシュアルは、異性に恋愛的または性的な魅力を感じる人々を指します。
これが社会的な「標準」と見なされることが多いです。
ホモセクシュアル(同性愛)ホモセクシュアルは、同性に恋愛的または性的な魅力を感じる人々を指します。
男性が男性に、女性が女性に惹かれることがこれに該当します。男性の場合は「ゲイ」、女性の場合は「レズビアン」とも呼ばれます。
バイセクシュアルバイセクシャルの人々は、男性と女性の両方に性的または恋愛的な魅力を感じることがあります。
彼らの魅力は、性別に基づいており、通常は男性と女性の二つの性別の間で感じる魅力を指します。
バイセクシャルの人々は、どちらか一方の性により魅力を感じる場合と、両方に平等に魅力を感じる場合があります。
パンセクシュアルパンセクシャルの人々は、性別を問わずに人々に対して恋愛的または性的な魅力を感じることができます。
つまり、彼らの性的魅力は、伝統的な性別の枠組みを超えており、トランスジェンダーやノンバイナリーなど、より幅広い性のスペクトラムにわたる人々にも及ぶことがあります。
パンセクシャルの人々は、相手の性同一性に対して開かれた態度を持っていると言えます。
アセクシュアルアセクシュアルの人々は、他の人への性的魅力をほとんどまたはまったく感じないことが特徴です。
ただし、アセクシュアルであってもロマンチックな関係を持つことはあります。

世界のLGBTQ+活動状況

LGBTQ+の活動は世界中で多岐にわたっています。
日本はLGBTQ+の権利に関して他の先進国に比べて遅れている現状です。
実際にG7では日本だけ、同性結婚が合法化していなく、国レベルのパートナーシップが出来ていない国です。

ここでは、いくつかの具体的な国名を挙げつつ、それぞれの国での活動内容について説明します。
まずは、世界の活動状況を表で時系列で紹介。

以下の表では、日本がどれだけ遅れているのか一目でわかります。

事柄
1969年ニューヨークストーンウォールの反乱
カナダカナダ同性間の性行為を非犯罪化
1996年南アフリカ性的指向に基づく差別を違法とする
2003年オーストラリアパートナーシップ承認
2005年カナダ同性結婚が合法化
2006年南アフリカ同性結婚が合法化
2015年アメリカ同性結婚が合法化
日本パートナーシップ一部で承認
2017年オーストラリア同性結婚が合法化
2022年カナダ転向療法の禁止
2023年世界G7サミットでの国際的な取り組みとしてのLGBTQ権利の促進
オーストラリアインターセックスの権利保護
ロシアLGBT運動の禁止

日本のLGBTQ+

日本はLGBTQ+の権利で他の先進国に比べて遅れています。主な理由はいくつかあります。一つは、法的な保護が不足していることです。

まず、日本では同性カップルに対する国レベルでの法的認知がありません。一部の地域ではパートナーシップ証明制度がありますが、これは結婚とは異なります。
そのため、多くのLGBTQ+の人々が困難に直面しています。

また、日本の政府は国際的にはLGBTQ+の権利を支持していると表明しているものの、国内での具体的な行動は限られています。
例えば、2023年のG7サミットでの国際的な取り組みとしてのLGBTQ権利の促進に対し、日本は具体的な反差別法を制定していない点が問題視されています。
参考:HUMAN RIGHTS WATCH|G7 Letter Highlights Japan’s LGBT Rights Gaps

これらの問題に対処するためには、法的な保護の強化とともに、社会全体の意識改革が必要です。
国際社会との約束を守り、すべての人に平等な権利が保証されるよう、日本政府にはさらなる努力が求められています。

アメリカのLGBTQ+

アメリカでは、LGBTQ+の権利拡大に向けた活動が非常に活発です。
同性婚が全国的に合法化されたのは2015年のことで、それ以降もトランスジェンダーの権利保護、職場での差別禁止などが進行中です。

各地でプライドパレードや教育プログラムが開催され、LGBTQ+の可視化と社会的認知の向上が図られています。
参考:ACLU|LGBTQの権利

カナダのLGBTQ+

カナダの LGBTQ+ の権利は世界で最も進歩的な国の1つです。
同国は1969年に同性間の性行為を非犯罪化し、2005年には全国的に同性結婚を合法化し、同性婚を合法化した最初の国の一つとなった。

カナダの法律は、2022 年から未成年者と成人の両方に対する全国的な転向療法の禁止を含め、LGBTQ+の権利を保護および促進するために継続的に進化してきました。
カナダは LGBTQ+の権利の支援で国際的に認められており、LGBTQ+の安全性と受容に関する世界指標で常に上位にランクされています。

トロントやモントリオールなどのカナダの都市は、活気に満ちた LGBTQ+コミュニティで知られており、政治家を含む国中から多くの参加者を集める大規模なプライド セレブレーションが開催されます。
参考:The official website of the Government of Canada

2022 年に開始された連邦 2SLGBTQI+ 行動計画は、カナダにおける LGBTQ+ 個人の権利と平等をさらに推進することを目的としています。
この包括的な計画は、根強い格差に対処し、カナダ社会の包摂性を高め、コミュニティ活動、国際的な権利擁護、LGBTQ問題に関連するデータと政策立案の強化などの分野に焦点を当てたさまざまな取り組みを通じてLGBTQコミュニティを支援することを目的としています。
参考:The official website of the Government of Canada|2SLGBTQI+

オーストラリアのLGBTQ+

オーストラリアでは、LGBTQIA+の権利が長年にわたって大幅に進歩しました。 
2017年12月9日に同性結婚が合法化されて以来、この国では LGBTQIA+ の権利と平等においてさまざまな進歩が見られました。
州および準州政府は、シビル・ユニオンや家庭内パートナーシップなど、さまざまな形での同性関係を早くも2003年に承認し始め、連邦政府による同性の事実上の関係の承認は2009年から始まりました。

さらに、オーストラリアは差別禁止法においても前進を遂げました。
性的指向と性自認に基づく差別は、すべての州および準州で違法です。

さらに、トランスジェンダーやインターセックスの個人の権利も認められ、保護されていますが、認定と保護の程度は管轄区域によって異なります。
例えば、オーストラリア首都特別地域は、2023年に同意なしにインターセックスの子どもに対する手術を禁止し、インターセックスの権利保護における重要な一歩となりました。

アムネスティ インターナショナル オーストラリアは、この国におけるLGBTQIA+の権利を擁護する上で重要な役割を果たしています。
この組織は、トランスジェンダーやインターセックスの権利を支援するだけでなく、結婚の平等を求める全国的なキャンペーンにも取り組んでいます。
彼らの取り組みは国内に限定されるものではなく、世界中でLGBTQIA+の人々の平等と安全を推進するための国際的な擁護活動にも参加しています。

参考:https://www.amnesty.org/en/what-we-do/discrimination/lgbti-rights/

ロシアのLGBTQ+

ロシアでは、LGBTQの権利に関する状況が厳しくなっています。

2023年11月、ロシアの最高裁判所は「国際LGBT運動」を「過激派」と認定し、国内でのすべてのLGBT活動や組織を禁止するという判断を下しました。
この決定は、LGBTQの権利活動に対して極めて重大なリスクをもたらしており、関連する活動や支援を行う者たちに対する危険が増加しています。
この法的措置は、ロシア当局が異議申し立てや少数派の抑圧を「国家の安全と社会的安定への脅威」として取り締まる一環と見られています。

これにより、LGBTQ関連の活動を過激な行為と見なし、その参加者や支援者を逮捕することが可能になります。
この結果、LGBTQコミュニティ及びその支持者たちの間で大きな恐怖と法的なリスクが生じています。

さらに、ロシア政府は西洋の影響に反対する「伝統的価値観」を守るという名目で、このような厳しい措置を正当化しています。
国際的には、このような抑圧的な措置が国際人権法に違反しており、差別と恐怖の環境を助長しているとの非難が高まっています。

参考:United Nations|UN experts condemn Russian Supreme Court decision banning “LGBT movement” as “extremist”

南アフリカのLGBTQ+

南アフリカは、LGBTQIA+の権利に対する進歩的な姿勢でアフリカの中でも際立っています。 
1996年に採択されたこの国のアパルトヘイト後の憲法は、性的指向に基づく差別を違法とする世界初の憲法となりました。
アパルトヘイトとは、南アフリカで1948年から1994年まで行われた、人種に基づく厳格な隔離政策と差別制度です。

この法的枠組みは、2006 年の同性結婚合法化など、他の重要な進歩への道を切り開き、南アフリカは世界で 5 番目、アフリカでは初めて同性結婚を合法化した国となりました。

南アフリカの法的保護は結婚の平等を超えて広がっています。
たとえば、同性カップルには共同養子縁組をする権利があり、法律は雇用やその他の分野での差別から LGBTQ+ の個人を保護しています。
これらの進歩にもかかわらず、特に大都市中心部以外では、LGBTQ+ の人々が同性愛嫌悪の暴力やいわゆる「矯正レイプ」などの差別や暴力に直面することが多いため、依然として課題が残っている現状です。

とはいえ近年、南アフリカの裁判所はLGBTQ+の個人の権利を支持し、拡大し続けています。
注目すべき事例としては、同性パートナーが共同養子縁組をする権利や、性自認を表現するトランスジェンダーの個人の権利の保護が挙げられます。
たとえば、性自認を表現する権利を求めて戦ったトランスジェンダー女性、ジェイド・セプテンバーの場合などです。

ジェイド・セプテンバーは、南アフリカのトランスジェンダー女性で、男子刑務所での服役中に自分の性自認に従って女性としての表現を求めて訴訟を起こしました。
彼女は、性同一性を表現する権利、特に女性の服やアクセサリーの使用、長い髪を維持する権利を求めて勝訴し、この裁判はトランスジェンダーの人々の権利を支持する画期的なものとなりました。

これらの法的進歩は、社会的態度にはばらつきがあり、差別は依然として存在するものの、LGBTQ+ の人々の受け入れと包摂を拡大するという南アフリカの幅広い傾向を反映しています。

参考:Wikipedia|LGBT rights in South Africa

世界と日本のLGBTQ+の違い

前章で世界のLGBTQ+の活動状況を解説しました。
LGBTQに関して、日本と他の国々との間にはいくつかの重要な違いが存在します。

ここでは、その活動状況からわかった「世界」と「日本」の違いについて解説します。
これらの違いは、「法的な枠組み」から、「社会的受容度」、および「コミュニティ」の3点から顕著に現れています。

法的な枠組み

日本

日本ではLGBTQの権利に関する国家レベルの包括的な法律が存在しません。
同性婚は法的に認められておらず、民間の取り組みや地方自治体レベルでのパートナーシップ証明書が一部で提供されているに過ぎません。
2023年には、トランスジェンダーの人々が性別を法的に変更する際の不妊手術の要件が違憲とされたものの、依然として多くの制約が残っています。

世界

カナダやスペインなどの国々では、同性婚が全国的に合法化されており、LGBTQの人々への広範な保護が法律で定められています。たとえば、カナダでは2005年に同性婚が合法化され、LGBTQに対する差別を禁じる法律が整備されています。また、スウェーデンやオランダでは性的指向に基づく差別を禁止する法律が早くから導入され、社会的な支援が厚いです。

社会的受容度

日本

日本の社会は伝統的に保守的であり、LGBTQの問題は公に議論されることが少ないです。
しかし、若い世代を中心に認識が進みつつあり、都市部では比較的オープンになってきています。

例えば、テレビドラマや広告でLGBTQのキャラクターが登場するケースが増えています。
しかし、依然としてステレオタイプの描写が多いという問題もあります。

世界

アメリカやヨーロッパの都市部では、LGBTQのコミュニティが大きく、社会的な影響力も強いです。
ニューヨークのプライドパレードやベルリンのクリストファー・ストリート・デイなどのイベントは、数十万人の参加者を集め、LGBTQの権利を祝う大規模なお祭りとなっています。
メディアにおいても、LGBTQの人々が自分のアイデンティティをオープンにすることが一般的であり、多様な性の表現が受け入れられています。

コミュニティの可視化

日本

日本でのLGBTQの可視化は徐々に進んでいますが、まだまだ積極的な取り組みが求められる状況です。
東京レインボープライドなどのイベントは年々参加者が増えており、LGBTQの存在を社会に示す重要な機会となっていますが、日常生活での可視化は限られています。

世界

英国やオーストラリアでは、LGBTQのコミュニティが非常に活動的で、政治的な議論にも積極的に参加しています。
これらの国々では、教育機関や職場でのLGBTQの権利が尊重され、様々な社会的イニシアティブが取り入れられています。
例えば、オーストラリアのシドニーでは毎年マルディグラが開催され、LGBTQの権利支持を表明する政治家や著名人が参加することで、国全体の支持を象徴的に示しています。

まとめ

この記事ではLGBTQ+の前提知識から、世界と日本の違いについて解説しました。
LGBTQ+の認知や受容が発展している国からすると日本はまだまだ遅れているのが現状です。
とはいえ、日本でも毎年代々木公園で東京レインボープライドが行われたり、ラグジュアリープロダクトの世界的リーダーであるLVMH(モエヘネシー・ルイヴィトン)グループが積極的な取り組みでイベントに参画するなどしています。

これらのコミュニティやイベントをもっと詳しく知りたい方はコチラの記事をご覧ください。

日本でもより活発的な認知拡大の活動をできるようになっていきたいものです。

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